こむら返りの原因と予防ストレッチ・歩き方
足が冷える時期に相談が増えるこむら返り
寒くなってくると増える相談の一つがこむら返りです。冷えが一つの原因なので、真夏にもエアコンで足元が冷やされることで、相談が増えるもう一つのピークがあります。
対処法が分からず、「あっ、ふくらはぎがつりそう!」となったら、じっと落ち着くのを願いながら待っている人が多いですね。また、明け方に急に痛みに襲われて、そのまま朝まで苦痛に耐えるケースも多いようです。
実は、このこむら返りと言われるふくらはぎの筋肉がつる現象は、とても簡単な方法で対処をしたり、防いだりすることができるのです。
今回は、こむら返りを自分で防ぐ方法を解説します。
こむら返りの原因:電解質のバランスの崩れ
「こむら=腓」には、「ふくらはぎ」という意味があります。筋肉が過剰に収縮したままになり、痛みを伴う状態を「攣る(つる)」と表現しますが、「こむら返り」とは特ににふくらはぎの筋肉がつることを指します。
筋肉はナトリウムイオンやカリウムイオンが細胞の中に入ったり、外に出たりすることで収縮と弛緩が行われます。これらの電解質(イオン)のバランスが何らかの原因で崩れると、筋肉からの信号がうまく伝わらず、筋肉が極度に縮んでしてしまったり、縮んだまま弛まなくなってしまいます。これが筋肉がつっている状態です。
このように筋肉をつりやすくなっている時は、電解質のバランスが崩れていることが考えられます。電解質の状態を正常に保つためには、電解質自体の量と、代謝を円滑に促す十分な水分量が必要です。汗をかいて水分や電解質が排出されたり、冷えて血行が悪くなる行為や状態を防ぐと、筋肉はつりにくくなります。
それなので、こむら返りが起こりやすい人は、水分をしっかり摂って、冷えや筋肉疲労による血行不良に気を付けましょう。またカリウム補給のために、緑黄色野菜やバナナなどの果物を多めに食べるのがおすすめです。
運動前には、準備運動でふくらはぎをしっかりと伸ばし、前日にお酒の飲み過ぎによる水分不足に注意することも大事です。
<電解質のバランスを崩す原因>
①運動不足の人の急な運動
②運動や熱中症による脱水・水分不足
③カルシウム・カリウム・ナトリウムなどの電解質のバランスの崩れ
④冬や冷房による冷え
⑤腰椎の疾患
⑥神経の病気
⑦下肢静脈瘤
⑧糖尿病
⑨腎臓の病気や透析をしている人
⑩肝硬変
⑪妊娠中
⑫薬の副作用
こむら返りを防ぐストレッチ
このように、冷え・疲労・水分不足・血行不良などによって、電解質のバランスが崩れて、筋肉が縮んだまま戻らなくなってしまうと、こむら返りが起こります。それなので、逆につりやすい筋肉を普段からストレッチして、柔軟性を付けると、こむら返り予防になります。これは実際にこむら返りが起こってしまった時の対処としても有効です。ここでは、こむら返りの起こる筋肉を解説し、そのストレッチ法を紹介していきます。
こむら返りを起こす筋肉は腓腹筋(ひふくきん)と言います。
膝の裏側で太ももの骨(大腿骨)から始まり、アキレス腱を介して踵(踵骨)までを結んでいる筋肉です。この筋肉は収縮すると、足首を伸ばしたり膝を曲げたりする役割があります。ですから、こむら返りの時につま先がピンと伸びてしまったり、ひどいと膝の裏辺りが痛くなるのは、腓腹筋が縮んだまま伸びなくなってしまっているからなのです。
それなので、腓腹筋が縮んだ時と逆の動きをすると、腓腹筋はストレッチされます。すなわち膝が曲がらないように気を付けながら、つま先を上向きに引っ張る状態です。
身体が固くてこの形を作れない人は、タオルなどを使ってつま先を引っ張ることでも、腓腹筋をストレッチすることができます。
ストレッチの目安は30~40秒間、じわ~っとイタ気持ちの良いくらいの状態で伸ばすことです。時間短すぎると筋肉が十分に伸びず、また長すぎても逆に筋肉が疲労してしまいます。ストレッチの強度も、痛すぎると防衛本能が働いて筋肉が収縮して逆効果になりますので、伸ばしすぎないように注意して下さい。
これを1日5回行うのが理想です。
朝・10時・昼・15時・夜くらいが目安です。できなければ、お風呂上りにだけは必ず行って下さい。身体が温まっている時は筋肉が伸びやすいので、お風呂上りのストレッチは効果的です。また、1度に張り切ってやり過ぎてしまう人もたまにいますが、ストレッチで柔軟性のある身体を作るのには継続が重要です。忙しくて1日5回もできないという人は、取り敢えず1日1回は必ず伸ばすことを目標に始めましょう。
こむら返りを予防する歩き方
このように腓腹筋の柔軟性を日頃から保っておくことは、こむら返りの予防のためにはとても大事なことです。日常動作で十分に腓腹筋を動かすことができると効率的ですね。
そこでお勧めしたいのがウォーキングです。
でも1日1万歩とか1時間という目標を設定した、運動のためのウォーキングではありません。通勤・通学時や買い物の際にちょっと意識しただけでもできる、ふくらはぎの筋肉を大きく動かすための正しいウォーキング法です。
意識することは2つです。
①膝を伸ばしたまま踵を着く。
②足が地面を離れる時に、足首をしっかりと伸ばす。
膝を伸ばして踵から足を着くと、自然と腓腹筋のストレッチ同じ形になります。つまり腓腹筋が最大限に伸びた状態です。そこから体重を前に移動させて、再び足が地面を離れる時に、今度は足首が伸びるように意識します。これは、こむら返りの時と同じ状態ですね。つまり、腓腹筋が最大限に縮んだ状態です。従って、①と②を意識して歩くだけで、腓腹筋の伸縮を最大限に活かせますから、筋細胞が刺激されて柔軟性を保つことができます。
ただし、ここで注意して頂きたいのが、「地面を蹴らない」ということです。足首を伸ばそうと意識すると、地面を蹴りたくなってしまいますが、足の指に力が入ってしまうと、足首の関節が固くロックされて可動域が狭くなり、腓腹筋が伸びなくなります。「地面を蹴らずに足首を伸ばす」ことは、少し感覚を掴みにくいかもしれませんが、日々少しずつ意識していけば実践できるようになりますので、頑張ってみて下さい。
そして、この歩き方には冷えやむくみで悩む人に嬉しい副作用があります。
ふくらはぎは毛細血管が多いので、腓腹筋が大きく伸び縮みすると、ポンプの作用となって、全身の血行が良くなります。これが「ふくらはぎは第二の心臓」と言われる由縁です。そのため、この歩き方を実践すると、冷え性や足のむくみが改善され、足が細くなることがあります。
まとめ~こむら返りの原因と予防法~
ここまで、こむら返りの原因とその対処・予防法について解説をしてきました。
こむら返りは体内の電解質のバランスが崩れると起こります。
それを防ぐには、冷えや水分不足・疲労・血行不良の原因になっている生活習慣を見直してみることが重要です。また筋肉の収縮の時に働くカリウムやナトリウムなどを食事から採ることも効果的です。
更に普段から腓腹筋の柔軟性を保っておくことも、こむら返り予防には大切です。
1日5回を目標に、膝を伸ばしたままつま先を上に向ける腓腹筋ストレッチを行いましょう。また、通勤や通学時に腓腹筋の動きを意識した歩き方を実践することも、腓腹筋の柔軟性を保つことにつながります。膝を伸ばしたまま踵を地面に着き、地面から足を離す時は足首を伸ばす。最初はしっくりこないかもしれませんが、徐々にこの動きを身体に馴染ませていくと、腓腹筋が柔らかくなり、こむら返りが起こりにくくなります。
ストレッチも正しいウォーキング法も、1度に無理してやるよりも、毎日少しずつ継続していくことが大事です。自分のやりやすい時間帯に、自分の続けられる負荷で、まずは始めてみて下さい。
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埼玉県越谷市越ヶ谷1-16-12
院長 流岳史
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